最近、不調気味だったエアコンが本格的に調子を崩してきて、あまりにクソ暑い日々を過ごしているので、ふと思い出したヒンヤリする怖い話を書いてみる。
ある野心家の男の話
その男は地方出身者で、東京に出てきてすぐにIT会社を起業した。
彼には、ある程度の勝算があった。
というのも彼の頭のなかには、その発想力を生かしたアイディアがいくつかあり、どれも実現すれば、相当な利益をもたらすものばかりだった。
それから彼は自分を信じてひたすらに突き進む。
時はIT革命時代、多くの同業者が次々に立ち上がり、そして次々と消えていった時代。
なかには莫大な富を築く者もいて、アイディア一つでのし上がれる、そんな時代だった。
そんななかで、彼のアイディアは特に魅力的で、そのアイディアを盗もうとする者や、おこぼれを狙っている者、弱みを握ろうとするものなど、彼の周りの色んなものが標的にされ魑魅魍魎が集まってきた。
しかし、当の本人は悪戦苦闘しながらも様々な技術を身につけ、努力によって自分のアイディアを形にしていった。
そして、彼の会社は少しずつ業績を伸ばしていく。
そしてついに、都心の一等地にビルを建てるまでになった。
それは彼が起業した時からの夢で、会社を大きくすること、大きな自社ビルを建てることを目標にしてきたのだ。
それだけに彼は、ビルの建設には設計から携わり、そのビルは多くのこだわりが詰め込まれたものになった。
工事関係者に交じって、誰よりも現場に通いつめ、ああだ、こうだと口をだす。
そして先鋭のIT企業らしい立派なビル、新しいオフィスビルが出来上がった。
彼はとても嬉しく、誇らしく、満足し、これからも今まで以上にがむしゃらに頑張っていこうと決意を固めた。
そして完成披露パーティーを明日に控え、特注で作らせた自慢の机に座り感慨にふけっていた。
田舎から単身出てきて身一つで、よくここまで来たな~
我ながらよく頑張ったよ。
なんて感慨にふけっていると。
足元に違和感が。
なんだろう?
のぞいてみると、そこには半分白骨化した死体が?!
うわっ!
普通なら、メチャメチャ驚くところだけど、彼はあまり驚かない。
あれ?なんでだろう?
そうだ。自分はここに死体があることを知っていた!
いや、それどころか、この人物を殺し、ここに死体を隠したのは自分だ!
何故そんな大事なことを忘れていたんだろう?
白昼夢?多重人格?記憶障害?
よく分らない。
よく分らないが、もう殺すしかない!と決意した黒い感情を思い出したのだ。
断片的だが記憶が蘇ってきた。
そう、彼は敵対してるライバル会社・弱みを握られたジャーナリスト、都合の悪い人間を、何人か殺していたのだ。
そしてその死体を全てこのビルのいたる所に隠したことも思い出した。
ただ、誰をどうやって殺したのか、何人殺したのか、どこに死体を隠したのか。
肝心なところが思い出せない。
明日からこのビルは、大勢の職員が新しい職場として訪れることになっている。
何かをするなら今しかないんだが、死体の隠し場所も分らないので、どうすることもできない。
という話です
怖い話はあまり経験がないので、精一杯搾り出したんだが。
去年は、そんなに~なかんじだったので。
ちなみにこの話は、自分が今まで見た夢の中で一番怖かった話を着色しました。
自分がやってしまったことと、それを忘れてたこと、それが誰かにばれるかも知れないこと。
色々怖くなって、しばらく夢…だよね?
みたいになった。
なんとな~く思い出したので。